「さて、そろそろ縛らせていただきましょうか?」
男は、女の白く透き通る肌に縄をかけようとした。

「あぁっ。お、お願い、そんな事、なさらないで……」
女の頬が恐怖でこわばる。
女は肩を震わせ、床の上を這うように男からツツッと離れると、身をよじって縄から逃れようとする。
縄を手にした男は女を眺めつつ、やんわりと女を諭すように、嬉々とした表情で言った。
「逃げても構いませんが……この部屋からは出られませんよ?」

男は以前から目をつけていた美しい女を今夜ついに誘拐したのであった。
女がアパートから出たときから男は女を尾行していた。
この時間に女が近くのコンビニに買い物に行くことは事前の調査で分かっている。
人通りの途絶えた路地に女が歩みを進めて数分後のことである。
後ろから忍び寄る黒い影に、女は何か薬品のようなものをかがされた。
くらっと眩暈を覚えた後、女は気を失った。
気がついた時には薄暗い地下室に監禁されていたのだ。

男は女に焦がれていた。
その女の全てを支配したいと思うほどに。
―― 女を調教するには、一週間もあれば十分だ ――
男には自信があった。

男は女に言う。
「大丈夫。私は貴女を愛しているのです。ですから、私から離れられないようにして差しあげるだけですよ。大切に大切に致します。勿論、私のやり方で、ですがね。。。ふふふ」

「お、お願いです。このまま帰してください。私に触らないでっ」
女はまるでわが身を守るかのように自分の胸の前で両手をクロスにさせ、床の上で震えている。

「ふぅむ。私としてもあまり手荒なことはしたくないのでね。貴女が大人しく言う事を聞けばちゃんと返して差し上げましょう。しかし、言う事を聞かないというのなら、一生ここに閉じ込めるしかありませんな」

「そ、そんなっ」
男の言葉を聞くと、女の眼から一筋の涙がこぼれた。
男は矢継ぎ早に言葉を投げる。
「おっと、泣くのはまだ早いですよ。貴女には快楽の何たるかをお教えして差し上げましょう。女は麻縄に緊縛されつつ、快楽に身をよじって泣くのが美しいのですよ。大丈夫。怖がることはありません。私から離れられなくなるだけですから。ふふふ」

「たとえどんなことをされても、私が貴方から離れられなくなるなんて、あり得ないですわ」
女はカッとなったのか、やや紅潮した頬で叫んだ。

ますます面白くなってきた。
男は心が躍るのを感じた。
しかし、女に一定の安心感を与えるために湧きあがってくる淫猥な笑みをかみ殺した。
そして、出来る限り真摯な表情をつくりあげると、女に言った。
「では、一週間したら貴女をここから出して差し上げると約束致しましょう。その代わり、一週間の間は私の命令に従うのです」

男の言葉を聞き、どうせここから出られないことを徐々に知り始めた女は自暴自棄に叫んだ。

「す、好きになさるといいわっ」

男は遂に女に縄をかけはじめた。
じりじりと男の興奮が高まる。
緊縛された女は美しい。
裸体よりもずっと。

きっともうすぐ……。
貴女はその股の間から熱い鼓動を感じますよ。
その美しい両太ももの間から、いやらしく滴る液をたらすのですよ。
そして私の手に落ちるのです。
心の中で、男は勝ち誇ったかのように女に言った。

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