麻縄のなめし方法 詳細ページ
なめしの方法
麻縄のなめしには二つの処理が必要になります。一般的に知られているのは煮なめしという方法もう一つは、擦りなめしという処理です。
両方について簡単に解説をしましょう。
なめしの基本
なめし処理の常識なめし処理をすると、7mの縄が20センチから30センチ短くなります。 これは、なめし処理をする事で、絞っている力(伸ばす力)を取り除くからです。 絞りを無くせば 柔らかい縄になる。 麻縄はコイルのように絞っているものを伸ばしで固くすることで固定しているようなものです。 ですから堅い、それを取り除けば、ギュウっとしぼられている所に隙間が出来ますからふわりと柔らかくなり自ずと縮みます。 (繊維ですから煮ることでも多少繊維自体が萎縮することもあります。) ですが、Mを縛る事で、また伸びていきます。
煮なめし
煮なめしは、皆さんもある程度はわかっていると思いますが、縄を煮る処理です。 ジュートロープは、水に弱いという難点があります。 それに対処するために、破水処理としてロープを絞って行く時、繊維が切れないように、石油系のオイルを含ませながら適度に滑らせて力を加えてロープにします。 これにより程よいすべりも生まれ、繊維が切れる事無く絞れるわけですが、人を縛るにはタールが邪魔になるわけです。 これを 取り除くには、煮ることが一番です。 薬品を使うということもありますが、薬品を使うと細かいケバが出やすくなります。 麻縄が妙に白いものは、苛性ソーダを使っているかも知れません。 何でも溶かす薬品ですから、麻縄もダメージが大きいようです。 苛性ソーダーはお勧めしません。 煮るだけで意外と柔らかくなります。 何度も水を替えて石油の成分を煮出してください。 水の色が茶色に変わったままで煮ますと、その色が縄に戻ってしまいます。 その手間と時間がない方は、当店の鬼縄なめし麻縄をご購入ください。 細縄は、処理を丁寧にし、且つメンテナンスをすれば使いやすい縄になります。 次のステップは煮あがった縄を洗濯機で脱水します。 もちろん 熱いうちにです。3分脱水したら、一度脱水を止めます。止めたところで、オイルを霧吹きか何かで、麻縄にふりかけます。 この時、麻縄に満遍なくオイルがかかるようにして下さい。 多少多めにかけたほうがいいと思います。 かけ終わったら、また3分脱水してください。これは余分なオイルを取る為です。 脱水が終わったら、陰干しをして 縄が乾燥すれば、出来上がりです。 陰干しの時に縄が縮みますので、縄に負荷をかけたほうが良いと思います。 なを 洗濯機がオイルまみれになりますので、ご注意ください。 余談ですが、いらないタオルなどを入れて洗濯機を回すと意外と洗濯機が綺麗になります。注意※オイルは動物性の油は禁物です。
一番安値で手に入りやすいベビーオイルがお勧めです。 それに当社のメンテナンス用蜜蝋を混ぜて使うこと抜群の仕上がりになります。 一般家庭で煮る場合は、良く煮方として小さい鍋で煮ている画像を目にしますが、なるべく煮る水は多いほうが、油や汚れの抜けは良いでしょう。 7mの麻縄ですと1本が130グラムくらいですから、水を吸いますと300から400gになりますので、なるべく麻縄7m2本に対して水2リットル以上と考えたほうが良いでしょう。 煮る時間は、ご自分の好みで、40分から1時間が一般的のようです。 長く煮すぎますと、縄の汚れが縄に染まりますので、汚れたら水を変えても良いと思います。 蝋や汚物を付いてしまったものは、廃棄したほうがお相手のためにも良いと思いますが、使いたいという方に、あまり勧めませんが蝋燭がついた場合は、蝋燭がついたところにピンポイントに熱湯をかけて蝋を流します。 そして、乾かすときにはテンションをかけて乾かしてください。熱いうちに濡れた個所にオイルを入れることを忘れずに。 汚物とかで汚れた場合は、ネットに入れて洗ってください。 毛糸の衣類を洗う感じです、洗剤は中性の物を、おうちドライクリーニングですね。 洗うと毛羽が立ちますので、オイル入れと焼き入れは必要になります。
擦りなめし
擦りなめし・・皆さんは聞きなれないなめしだと思います。 でも、実際に縛りをしているみなさんは、縛るということで、擦りなめしをしているのと同じことをしているのです。 擦りなめしをするということは、ケバをたたないようにすることと、絞りを固めること焼きを入れた時の燃えカスを取り去る事にあります。 (煮なめしをした麻縄は 絞りが緩んでいます。その為に、一度擦りなめしをするほうがほつれや緩みがなくなり扱いやすくなります。) 擦るという行為によって縄の表面は滑らかになります。肌に触れる感覚も一段と良くなり、縛り易くなるのです。 擦りなめしの方法は、いろいろあります。 布や本革そして同じ材質のジュートに蜜蝋・ベビーオイル・馬油をしみこませた物で、縄の表面をこすって擦りなめすのがオーソドックスなようです。 縄の表面に光沢が出ればOKです。 怪しまれないように やってください。 決して暗い所ではやらないようにしましょう。怪しすぎますので・・・ 擦りなめすときに蜜蝋を含ませると縄の表面に光沢が出ますが、 含ませ過ぎは禁物です。
毛羽焼き
毛羽焼きについても触れておきましょう。 仕上げの焼き入れは何時行えば良いのか?という質問を多くいただきます。 何時でしょうか、それは、縄が煮上がってオイルを入れて干した時です。 まだ、湿り気があるうちに、焼きを入れる。 これは、毛羽だけを焼く事になるからです。乾いてからですと、毛羽になっていない麻まで焼いてしまいますので、まだ湿り気があるうちに焼きを入れます。 吊るして干した時のほうが全体的に焼き入れしやすいと思います。 ガスコンロでやっているのを見たことがありますが、火力が強いので焦がしてしまったりロープが燃えてしまうことも予想されますので、気を付けて下さい。 コンロの着火用のライターが使いやすいかもしれません。 麻縄は、短い繊維を撚り合わせて作られています。 どんなに丁寧に焼きを入れたり、擦りなめしをしても毛羽は立ってしまいます。 どんなにオイルなどを含ませても、毛羽は出てしまいます。 使い込むうちに、毛羽の出方が落ち着き短い繊維が落ち長めの繊維が表面に残さってくれば使いやすい縄となるでしょう。
縄の色と性質
縄の芯の部分に汚れた繊維が織り込まれていると、煮ているうちにその汚れが煮汁に溶け出してきます。その色が濃い場合は煮汁を替えることをお勧めします。 それは何故かというと、溶け出した汚れは、煮ているうちに綺麗な縄の表面を汚れで染めてしまうことがあるからです。 縄の腰の事を言われる方がおられます。縄を乾かす時、そのまま乾かすとふんわりとした縄が出来上がります。 6㎜が10㎜くらいに太くなり、7.4メートルの長さが6.4メートルと1メートル程短くなってしまいます。 それを避けるには、干した時に荷重をかけて引っ張ったまま干し上げなければなりません。 当社の縄は、専用の干し場(室内)で陰干しされテンションをかけて乾燥させます。 なので、7m以上の長さは維持されています。
その他の方法
硫黄編太古の昔、麻は魔除けとして、紐や着物または網といったものに使われていました。 麻は人間にはなじみのものです。 麻の加工は、古よりいろいろな工夫をされいろいろな加工技術が開発されてきました。 科学的処理の最も古いものは麻を硫黄に漬けて脱色し柔らかくする技術だったようです。 この方法は、今でも田舎でおこなわれている麻の加工方です。 麻を柔らかくするのは、今でもこれが一番のようです。溝(ドブ)なめし
今はドブなど都心では見かけなくなりましたが、30年ほど前には、都内でも見かけられました。 その溝に、縄を浸けておくだけのことなんですが、なぜが柔らかくなるんです。 臭いも、1週間ほど干せば無くなっていました。